こんにちは。株式会社チェンジデザインのコンサルタント高田淳志です。
「もっと社内のIT推進力を強化しよう!」「ITを活用して作業効率があげよう!」とお考えの皆様に向けて、解決・対応策の手掛かりになればと投稿するものです。お役に立てば何よりです。


2020年春、新型コロナウイルスの影響で「ハンコ」や「テレワーク」など、仕事環境に関わるいろいろなキーワードが注目されました。

私はちょうどこの4月に独立して今は自宅兼事務所状態ですので、これが「在宅勤務」なのか、「出勤状態」なのか微妙なところではありますが、皆さんの仕事や職場ではどのような変化があったでしょうか?

「IT」「デジタル」といったキーワードから思い浮かべる情景は実にさまざまなのですが、今回はデジタル化の必要性やメリットについて書いてみようと思います。

メリット1:デジタル化は、時間・空間に縛られない生産性向上を実現

テレワークによる働き方改革前進への期待

今回はウイルスの流行がきっかけであったため、「テレワーク」のように「オフィスとは離れた拠点でいかに業務を実施出来るか?」のインパクトが強く印象に残ります。そのため、アフターコロナの世界での働き方はどう変わっていくのか・・・が自粛期間中の大きな話題になったものの、緊急事態宣言解除後、「それほど」には大きな変化の波は生まれていないようにも見えます。

それでも、コンサルティング先企業の経営者からは「今後は、今までにとらわれない職場環境や働き方を」と未来に向けて策を練られている話も多く伺うことができ、「変化に向けて動き」は確実に進んでいるようです。

ダイヤモンド経営者クラブ実施のアンケートに拠れば、新型コロナ収束後もテレワークを
●「続けたい」または「どちらかと言えば続けたい」:50.9%
●「続けたくない」または「どちらかと言えば続けたくない」:20.3%
となっており、在宅勤務に適した作業環境の整備やセキュリティの確保など、テレワークであっても作業効率を維持・向上させられるよう検討すべき課題はあるものの、この先も活用は進みそうです。

型コロナウイルス収束後のテレワーク活用に関する「新型コロナウイルスの影響についてのアンケート結果」
新型コロナ収束後のテレワーク継続に関する経営者対象アンケート

かつては、「在宅勤務可」という条件が人材採用においてプラスとなる要素でしたが、これからは、「在宅勤務不可」な環境が敬遠されることも予想されます。重要な企業活動の一つである「採用」「求人」場面において、在宅勤務を含めテレワーク制度が整っている、更には、十分に活用されているという状況は、優秀な人材を呼び寄せることにつながっていくと考えられます。

効率的なテレワークの実施に欠かせない業務のデジタル化

「平成30年版情報通信白書」(総務省)に「テレワーク利用の課題」に関しての調査結果(下記)が公開されています。家庭環境や費用に関して等、企業側の努力だけでは解決しない課題も含まれていますが、企業においてテレワークの実施環境や必要なルール整備が十分ではないことが分かります。

テレワーク実施の課題に関する調査結果(平成30年版情報通信白書)
テレワーク実施の課題(複数回答、テレワーク実施希望者)

オフィスワークであっても、押印や郵便物・宅配荷物対応など出社が前提になる業務もあり、全員・毎日・全業務を一気にテレワーク化することが困難なのは確かですが、それに加えて、「その場に全員がいる」ことが前提になっている社内の業務プロセスや作業マネジメント方法が残っているようであれば、それらの見直しが必要です。

例えば、次の業務は離れた場所でも実現できる仕組みが整っていますか?

  • 会議(内容に拠らず紙資料の配付が日常・・・)
  • コミュニケーション(簡単なことまで時間を使って電子メール連絡・・・)
  • 勤怠管理(紙のタイムカードを手作業で集計・・・)
  • 業務管理(お互いのタスク状況や期限が全然共有されていない状態・・・)
  • ペーパーレス(保管資料がほぼ「紙」・・・)

デジタル化することにより、時間・空間を超えての情報アクセスや共有が容易になります。今回は、新型コロナ対応のために急ぎテレワーク実施に踏み切った企業が多いとされ、アンケート結果などでも、生産性の低下やコミュニケーション不全などが発生してしまいやすい、やむを得ない状況がありました。

「あれー、あの資料って誰が持ってるんだっけー?」「私のパソコンにあるから、すぐにメールで添付して送るー!」というやり取りが、いまだ日常的に多発しているままだと、効率的なテレワーク実現までの道のりはまだ遠いかもしれません。
データが体系的に整理・格納され、常に検索・利用でき、適切な権限設定の下で誰もが自由に情報を活用できるといった状態を実現さえできていれば、あとは、物理的な機器(PC端末やネット回線等)を整えれば良いだけですので、在宅勤務だけでなく、リモートワークやサテライトオフィスへの対応も容易な状況と言えます。

テレワークを題材に説明しましたが、これからも進むデジタル化の中にあって、業務プロセスやデータがデジタル化されているということは、柔軟かつ迅速にさまざまな状況変化に対応し続けるための前提と言って間違いないでしょう。

メリット2:デジタル化は、企業ビジネスの競争優位性を確立

デジタル化は、これからのデジタル社会でのビジネスに必須

「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」という言葉はご存じですか?

経済産業省が2018年にまとめた「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」においては、DXとは『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』と定義されています。

文章にすると堅い印象を受けるので、分かり易いイメージ図(下記)を掲載します。

ITとビジネスの関係性の変化
ITとビジネスの関係性の変化

IT技術は、これまで「いかにヒトを補助するか?」として活用されてきました。しかし、近年は、「ビジネスに欠かせないもの」として、直接的に業績を左右する存在になっています。

例えば、ECサイトの停止による販売機会ロスからの利益喪失のような直接的なものもあれば、リアルのアパレル店舗へのバーチャル試着システム導入による顧客利便性向上が販売実績へ結びつく間接的なものまで、データ処理機械の役割を超え、ビジネスツールとして活用されています。

上記例のように、もはや、「リアルの世界」と「デジタルの世界」がそれぞれ存在する時代が終わり、リアルとデジタルが融合するビジネスモデルが必要とされる時代が訪れ、そのような中だからこそ、競争上の優位性を確立・維持するためにデジタル化が不可欠であることを上図は表しています。

デジタル化のステップ

「デジタル化」という言葉には広範な内容が含まるため、少しブレイクダウンし「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」に分けて考えてみることにします。

イメージ図で表すと次のような区別となります。どちらも「デジタル化」に含まれる活動ですが、デジタル化を進める上での「フェーズ」を表す単語とも言え、その区別について簡単な解説をします。

デジタイゼーションとデジタライゼーション
出典:ネットコマース株式会社「ビジネス・プロフェッショナルのための最新ITトレンド」

デジタイゼーション(Digitization)

普段の業務活動(プロセスやワークフロー)の効率化に向けて、ITによる改善や改良、修正を実施するのが「デジタイゼーション」です。ITを活用した現場「カイゼン」活動ですから、それぞれの場面(局所・部分)ごとに取り組んでいくことになります。

少し前(2018年)データですが、コクヨ株式会社の調査で次のようなデータがあります。

  • 1日のうち書類を探す時間は約20分
    • 1年間(労働日数240日として)では約80時間
  • 会社で働く社員の悩み
    • 書類の検索に時間がかかる:63.9%
    • 書類が場所を取り、作業スペースが狭くなる:59.9%
    • 書類が減らない:59.2%

上記のような状況に対して、例えば、「書類をOCRスキャンして電子化し、キーワード検索ですぐに見つけられるようにしよう」「会議参加はノートPC持参を前提とし、資料の紙印刷・配布をやめよう」のようなことをゴールとして取り組むのは「デジタイゼーション」の一例です。

デジタライゼーション(Digitalization)

「デジタライゼーション」は、デジタルの存在を前提にした新しい事業構造やビジネス・モデルを再定義していくような組織全体の活動となります。

一朝一夕で達成できたり、効果がはっきりするような活動ではありませんが、上図の例にあるように「販売からシェア」「モノからサービス」「デジタル消費やデジタル生活の日常」は現実世界で起きている変化であり、まったく別世界のこととして無視することはできません。

そして、「デジタイゼーション」は「デジタライゼーション」の前提でもあり、デジタル化が不十分なままで「デジタライゼーション」に対応していくことは困難です。

先ずは「デジタイゼーション」から

「異業種からの参入」「市場環境の流動性増大」「顧客ニーズの多様化」など、この先のビジネス環境は不確実ですし、市場製品やサービスのライフサイクルがどんどん短くなっています。
IT製品・サービスのテクノロジーライフサイクルも短くなり、次々と新しいIT技術や製品・サービスが生み出されていますから、常に「変化が起き続ける」ことを前提にITと付き合っていくしかありません。

業界や競合への対応が遅れれば致命的な結果につながりかねませんが、決断や行動が速ければ(そのような環境ができていれば)御社を取り巻く環境の変化への即応性が増します。
官公庁や取引先に関わる業務から一気に「紙」をなくすことは現時点ではまだ難しい状況ですが、御社内に「紙でなければできない」「紙の存在が前提になっている」業務を減らしておきませんか?

これからのITは「コスト」ではなく、「利益の源泉」を生み出す必須道具となっていくことは間違いありません。

参考情報