こんにちは。チェンジデザイン代表の高田淳志です。
「もっと社内のIT推進力を強化しよう!」「ITを活用して作業効率があげよう!」とお考えの皆様に向けて、解決・対応策の手掛かりになればと投稿するものです。お役に立てば何よりです。


【より効率的にチャットツールを使用するためのポイントを解説】
「効率よく利用できている感がないなぁ・・・」「利用が活性化していないなぁ・・・」など、現状からの改善を目指されている方、お気軽にご相談ください。
第1回:チャットツールで本当に業務効率上がってるのかなぁ?
第2回:社内情報共有にチャットツールのメリットを出せるかは運用次第!
第3回:チャットツールのセキュリティは心配しなくてよい?
第4回:チャットツールは多様な働き方の推進(働き方改革)につながるか?

スマートフォンの利用増大や、テレワークなど離れた環境の人が集まって仕事をする機会・場面が増え、今では多数の企業が導入しているチャットツール。

導入によるさまざまなメリットが紹介されているサイトも多くありますが、もし、業務効率の向上を目的に導入した方がいたとしたら、本当に効果は上がっていますか?

「効果が上がった」のだとしたら、何をもってそのことを検証・説明できますか?

ちなみに、私自身はチャットツールをビジネスツールとして活用することに大賛成&ヘビー活用派です。また、実際、10年以上前から職場でさまざまなチャットツールを導入し、利用してきました。

それでも、「業務効率を最大限に向上する」と「働きやすさや楽しさも担保する」を両立しようとすると結構難しいテーマとなり、「これで100点!」と自分で納得感を得られる方法が見つかりませんでした。

一般的なメリット・デメリットは、各サービスの製品サービスページや多数のネット記事で確認できると思いますので、この記事では「悩んだこと」「課題となったこと」を私自身の経験の範囲で書いてみようと思います。

なお、どのような思考スコープでチャットツールの利用効果を捉えるかによっても味方が変わるはずです。メンバーの一人として自分周辺のことだけ考えれば良い人と、管理職としてさまざまな個性やワークスタイルを持つ多数メンバーのことを考えなければいけない人とでは、見える部分が異なるでしょうから、この記事の前提として私のポジションを書いておくことにします。「そういう立場目線で書いているんだな」という前提でご覧ください。

  • 私は、10人前後のメンバーを持つ部門のマネージャーです。
  • 私は、プレイヤー兼務であり、時間の長短問わず外出機会が多いです。
  • 部門は、業務システム開発を請け負っていて、私以外はほぼ全員がエンジニアです。
  • メンバーは、約2~3人ぐらいずつに分かれて、それぞれのプロジェクトを担当しています。作業の参考情報として、過去のプロジェクト情報を検索・利用します。
  • プロジェクトは、社員以外(国内別拠点など)のメンバーに参加を依頼することが多くあります。

それでは、「一般に」チャットツールのメリットとして挙げられていることを採り上げて、一つずつこれまでに抱いた悩み・課題などを書いてみますね。リアルな世界の組織運営上の課題となるようなことは、単にチャットツールを導入した「だけ」では解決できないということだと思っています。

チャットツールのメリットを十分に活かすためには

素早いコミュニケーションを「適切に」実現できるか?

何もしないと発生する状況

電話のように多少の申し訳なさ感(相手の邪魔しないかな?)を感じることもなく、発信者の都合で思ったときにすぐ送信できるのに加え、リアルタイムに読まれることを「期待」できるので、「連絡をためらう」ことが減る(結果、コミュニケーション時期が早くなる)のは確かです。

一方、プライベートで利用するのと変わらない感覚になりがちのため、「自分で調べたり、探したりする前に、さっさと聞いてしまえ」的な人が発生し始めます。

本人にとっては合理的とは言えるのですが、これが日常になってしまうと、普段から情報整理をしっかりしている人やもともと高いスキルを持っている人(たいてい「ビジネス能力が高い人」として重要業務を任されていることが多い)の負担が偏って増えてしまいます。「Yahoo!知恵袋」のような場であればスルーすれば良いのですが、発信者の作業停滞は、会社やプロジェクトチームのパフォーマンス劣化につながるので放置することもできない。。。

「さっさと聞いてしまう」側の人は、何のプロセスを経ることもなく必要な情報を得られたので、情報の探し方や所在を知らないまま通り過ぎ、時が経つとまた同じ質問を繰り返します。こうして、「何もしない人」と「何でもする人」の二極化が進み、組織にとって直近戦力度の高い「何でもする人」が疲弊してしまいます。

十分な活用をするための対策

集団で活動する以上、「必要な」ルールは作りましょう。ただし、校則のように硬直的・盲目的に「こういうルールがあるからやる」と押しつけるようなものではなく、「こういう効果を達成したいから、そのためにこういう方法・ルールにしたい」と、きちんと望む姿の共有をしてください。

「さっさと聞いてしまう人」も、自分が指示された期限内に仕事を終えたくてそうしていたなどの背景もあるでしょう。だから、組織全体での実現イメージを共有することで、それぞれが自分の利害と周囲の利害を調整できるようになれば、ルールを強く意識しなくても、「今はこうした方が良いだろう」と考え、コミュニケーションの方法やタイミングを自ら考えるようになります。

価値や文化の共有を抜きにして、「こんな場合は・・・」「そんな場合は・・・」と何でもルール化するのはやめましょう。そんな組織運営をしないといけない状態だったら、おそらく、チャットツールを含め何を使っても業務改善が難しい状態ですから、既存の環境をベースに意識改革から始める方が良いかもしれません。当面は、チャットツールを単なる連絡手段として割り切って使うのが良いでしょう。

私が使用したチャットツールの機能前提な内容があるかもしれませんが、例えば、次のようなルールを検討いただくと良いかもしれません。

  • 業務関連の内容は、1対1ではなくグループチャット(チャンネル)を使う。
    • グループ内でも個人を宛先にすることはできますから、1対1(プライベートチャット)で連絡するのと同じように相手に通知も届きます。
    • 質問発信に対して「それなら自分も知っているよ」と宛先以外のメンバーが反応することができ、作業負荷や対応負荷の平準化につながります。
    • 多くの発信を共有することで、チャットツールに限らず「こういうチーム運営した方が良いのでは?」などの改善きっかけになり得ます。
    • 「今日のランチはどこにする?」みたいな内容は1対1でどうぞ。
  • 長い内容(縦行数)は、テキストファイルなどに纏めて添付ファイルの形を取る。
    • ずっとデスクワークの人は、広いディスプレイを使うことが多いでしょうし、メッセージ受信の都度斜め読みができるのであまり支障ないかもしれません。
    • 外出が多い人は、外出先でスマートフォンやモバイル端末などの狭い画面で見るため、1画面ですら収まらない縦長長文は厳しいです。
    • 管理的な役割を担う人は、普段の活動から状況を把握・観測しますから、チャットツールの内容も広く目を通すことが多いです。内容細部を全部把握したい訳ではないので、縦長長文がくると網羅性が下がります。
    • 添付とは言っても、簡単なテキスト形式であればダウンロードなどしなくても、チャットツール画面上で閲覧できるので、特に不便はありませんよ。
  • 情報の内容(ストック? フロー?)により、連絡方法を使い分ける。
    • 今後も必要になりそうだから蓄積しておきたい情報(ストック情報)と、用が済めば忘れてしまっても良い一時的なやり取り(フロー情報)を区別するのがお勧めです。
    • 例えば、「申し込みに使用したアカウントID教えて?」ときたら、本来そのような情報は所定の場所(社内グループウェアなど)に記録し、チャットツールではその「情報の所在」を伝えるようにします。質問メッセージの回答になるし、情報の探し方や所在も伝えられるので、ささやかですが「社内教育」の効果も期待できます。
  • 就業時間外や休日(有給休暇含め)の対応ルールを決めておく
    • 緊急の連絡があり得る人はスマートフォンにもチャットアプリをインストールしていたりして反応し易くなっていたりするので、本来の労務ルールを逸脱しないよう運用ルールを決めましょう。何も決めないのはダメです。(「やり取りをしている間」だけではなく、「いつでも連絡がつく状態」が求められるのであれば、その状態の間すべてが「業務時間」とされる場合があります。)
    • テレワーク導入時に必要な規定内容の一つにもなります。そもそも、「就業時間外や休日にメッセージ発信は禁止」というのも一つですし、「発信は良しとするが応答(またはすぐの応答要求)は禁止」とするなど、業務形態などの実情に合わせて決めましょう。
    • どうしても必要な場合は対応期待時期を合わせて伝えましょう。「明日は自分が休むので、帰宅前に伝えておきたい」のような場合は、メッセージの冒頭に「水曜日(=翌日)朝の●●さんへ」などと添えるようにし、「今は」既読スルーを期待していることを伝えるようにしていました。

いくつか必要な観点を挙げてみました。いかがでしょうか?

あとは、チャットツールに限りませんが、多くの人は、社内上の立場が上(役職とか、社歴とか)の人からの発信には早く応えようと努めるものです。立場が上の人はそのような部分にも配慮し、積極的に対応スピードや優先度がコントロールできるような一言を添えてあげてくださいね。

随分長くなったので、今回はここまでにします。以下のポイントを次話以降で触れていきたいと思います。

  • 「効率的な」情報共有は推進されるか?
  • 「セキュア(安全な)」な連絡手段と言えるか?
  • 「多様な」働き方の推進につながったか?