こんにちは。株式会社チェンジデザインのコンサルタント高田淳志です。
「もっと社内のIT推進力を強化しよう!」「ITを活用して作業効率があげよう!」とお考えの皆様に向けて、解決・対応策の手掛かりになればと投稿するものです。お役に立てば何よりです。


【より効率的にチャットツールを使用するためのポイントを解説】
「効率よく利用できている感がないなぁ・・・」「利用が活性化していないなぁ・・・」など、現状からの改善を目指されている方、お気軽にご相談ください。
第1回:チャットツールで本当に業務効率上がってるのかなぁ?
第2回:社内情報共有にチャットツールのメリットを出せるかは運用次第!
第3回:チャットツールのセキュリティは心配しなくてよい?
第4回:チャットツールは多様な働き方の推進(働き方改革)につながるか?

テレワーク導入・推進に向けては必須となりつつあるチャットツールの効果や課題について、今回を含め4回に分けて書いてきました。最終回となる今回は、「多様は働き方」の推進に貢献できるのか?という視点で、チャットツール導入・活用のメリットや課題等を書いてみることにします。

「多様な働き方」と表現するときの「働き方」とは、例えば次のような、さまざまな文脈で使用されます。

  • 「雇用・就業形態」(例:正規雇用、非正規雇用等)を表す言葉
  • 「働く人の環境」(例:育児・介護など前提となる家庭環境、高齢者など体力・健康上の要因等)

今回は、「仕事の仕方」としての「働き方」を考え、「いつ」、「どこで」業務を実施するかという2つの軸で考察します。

働き方の多様さ実現にチャットツールを活かすポイント

分解した各項目(「いつ」「どこで」)について、「多様な働き方」が可能となっているかどうかを判断するためのチェック項目を挙げます。今後は、オフィス勤務とテレワーク勤務の混在が常態化することが予想されるため、テレワーク勤務者(在宅勤務やモバイルワーク、サテライトオフィス勤務等)との協働環境をイメージした内容としています。

「情報共有」の観点においては、テレワーク勤務者を含めた通常コミュニケーション方法がチャットツールに集約されていることが望ましいと考えますが、挙げる項目のすべてをチャットツールで達成する必要はありません。それぞれの組織に応じた最適なコミュニケーションを図れるよう、必要に応じて電話や電子メールとの併用を検討するのが良いでしょう。

「いつ」働くか?:業務時間数、勤務時間帯

いつ?

業務時間帯や時間数(午前9時から午後6時まで、途中1時間休憩をはさんで1日8時間等)や頻度(月曜日から金曜日までの週5日間勤務等)について考えます。

  • 業務勤務開始・終了時の連絡ルールが決まっている。
  • 休憩開始・終了や一時的な離席時の連絡ルールが決まっている。
  • 全員または一部が始業前または就業後の連絡ルールが決まっている。
  • 通常業務時と緊急時の連絡ルールが区別して決まっている。
  • 業務上の連絡事項とその他(個人的連絡や雑談的な内容等)のチャットグループを分離する等、対応要否や至急度が区別できるようになっている。

勤務時間が画一的または休憩時間が一斉な就業環境だとしても、テレワーク勤務者がいる時はお互いの存在が「見えない」状態になりますから、お互いに就業状況が分かるようにしておく必要があります。チャットツールの中には、利用者の現在のステータス(ログイン中、離席中等)を設定・表示できる機能を持つツールもあります。メッセージを投稿(「作業開始!」等)して知らせる手間を省きたい場合は、チャットツール選定時に機能有無を確認しましょう。

相手の状態を正確に把握できないことでレスポンスが遅いことに苛立ったり、不要な気遣いや遠慮が発生したりといった状況が発生すると、オフィス勤務者・テレワーク勤務者双方に本来不要なストレスや負担が発生し、業務効率も低下してしまいます。

「自分側の状況を積極的に他方に知らせる姿勢を持つ」、「友人同士でやり取りするようなプライベートチャットの感覚(直ちに返信来るはず等)を相手に期待しない」等、各個人の感覚で対応が異なりがちな部分をルール化し、「こうすれば良い(十分)」とされる共通の判断基準を明確にしておきましょう。
はじめのうちは多少面倒かもしれませんが、「いつ」についてさまざまな働き方を気持ちよくできる環境へとつながっていくはずです。

「どこで」働くか?:勤務場所、作業環境

どこで?

仕事をする場所(オフィス、自宅、外出先等)について考えます。

  • メッセージ内容が簡潔に纏まっている(長文は添付ファイルを併用する等)。
  • 宛先や返信方法等のメッセージ投稿ルールが決まっている。
  • 重要な連絡事項については、確実に伝わったことを確認するための方法を「伝えた側」「伝えられた側」が共有し、コミュニケーションロスの発生を回避している。
  • 添付ファイルの位置付け(目的や重要度)が分かるように添付されている。
  • 機密度の高い情報が不要になり次第、削除している。

PC端末やインターネット回線さえあれば「作業を行う」ことは容易に達成できそうですが、大切なことは、どの場所で作業しても効率を落とさず作業を進められるかどうかです。

そのためには相対的に状況が悪くなりがちな環境(端末PCの性能、画面の広さ、ネットワーク回線の性能等)を考慮したルールを検討すると良いでしょう。例えば、上記のチェック項目では、次のような状況の発生を防止しようとしています。

  • 外出先では、モバイルPC端末を使用していて、オフィス勤務時のような大きなディスプレイを使えない。長々としたメッセージが画面のほとんどを占めてしまい、メッセージの一覧性が悪くなる。
  • モバイルルーターを使用して容量の大きな添付ファイルをダウンロードしたが、メッセージ内容とは関わりの薄い参考程度の資料であり、ダウンロード待ち時間を浪費した。
  • 移動中もスマートフォンで自身宛てのメッセージ受信通知を確認しているが、念のため宛先に加えられている(電子メールのCcのような使い方)程度のものも多くて通知だらけになり、結局、本来見るべきメッセージ受信の確認には使えなくなった。

上記のように、ルール検討時は「どこで」仕事をする可能性があるのかを念頭に置きながら想像力を働かせた検討は実施するとしても、トレードオフが発生するような内容については、業務効率等を含め「全体最適」で結論を出してください。

すべての場所で公平に快適さを享受できるようにするという方針もあれば、仕事場所の利用割合・実施業務を決定要因に加え、最もよく使われる場所やより重要な業務を優先してルールを決めることが望ましい場合もあることでしょう。
チャットツール導入目的に向けた運用を実現できるよう、「どこで」要素を検討してみてください。

どんなルールを定めれば良いだろう?

皆さんの職場環境に、文書化されているものから暗黙的なものまで、業務実施にあたってのルールのようなものはたくさん存在していることでしょう。基本的には、既存のルールに「テレワーク勤務者を考慮」した内容を追加することで足りるのではないかと思いますが、参考までに例としてルールを挙げてみます。

例)コミュニケーション方法の使い分けに関するルール

電話基本的に社内の連絡手段としては使用しない。
緊急連絡用途での利用は可とする。
電子メール基本的に社外の連絡手段として使用する(社内連絡での使用は最低限とする)。
チャットツール非利用者も含めた連絡や情報共有での利用は可とする。
チャット社内の連絡手段として使用する。社外関係者を加える場合は次のルールに従う。
●事前に責任者の承認を得ること
●使用するチャットグループ名の先頭に「社外共有_」を添えること
●使用するチャットグループは、グループ登録者のみ閲覧可能とすること
Web会議社内・社外の連絡手段として使用する。
テレワーク勤務者参加時は、テレワーク勤務者の希望により「音声のみ」(ビデオ無し)での参加を認める。

例)チャットツール使用に関するルール

  • 部門やプロジェクト、連絡内容ごとにチャットグループを作成し、適切な範囲で情報共有ができるようにすること。業務に関わる連絡は、基本的にグループチャットで行うこととし、ダイレクトメッセージでの1対1のやり取りとしないこと。
  • グループチャット内で宛先を特定したい場合はメンション機能を使用すること。宛先設定された者は必ずリアクション(リアクションアイコン、返信メッセージ等)を行うこと。
  • 相手に分かり易い簡潔な文章を心掛け、長文になる場合はスニペットや添付ファイルの利用を検討すること。
  • 勤務時間外(始業前・就業後、休暇中等)の相手への連絡は控えること。そのような必要の発生が見込まれる場合は、あらかじめ本人と対応方法を検討しておくこと。
  • 機密性の高い情報を共有する場合は、チャットツール上からは3日以内に削除することとし、その旨をメッセージに添えること。
  • 利用用途が終了したチャットグループはアーカイブし、責任者のみがアクセス(復元)可能な状態にしておくこと(今後一切活用不要であれば、削除しても構わない)。
  • 社外関係者を参加させる場合は、ルール(所属企業略称を含む、本名を使用する等)に従ったアカウント名とすること。

ルール策定時に考慮したいこと

オフィス勤務者は判断に迷うことがあれば、「このような場合は?」と周囲に簡単に相談できますが、テレワーク勤務者の場合は、チャットで相談をし、その回答を待つといった余計なやり取りが発生します。

そのようなことを考えると、「少々、線引きがきっちりし過ぎか?」と感じられるくらいに定めておくことをお勧めします。ルールが緩くて運用がバラバラになってしまうより、基本ルールを一本化しておき、例外的な対応が必要になったら都度判断し、必要があればルール改訂を繰り返していくという方が、確実な運用を実施しやすいと思いますので。

上記の例の他に、「セキュリティに関する方針やルール(セキュリティポリシー)」、「Web会議事ツール利用に関するルール」等も決めておきましょう。
なお、ルールの策定にあたっては、就業規則(テレワーク規定等)との整合を取る必要がある項目(業務時間外の連絡対応可否等)もありますから、労務管理責任者とも協議しながら進めていく必要があります。

終わりに

全4回に分けて観点を分けて考察してきた「テレワーク」と「チャットツール」の組み合わせ。たった一つのツールでも、その使い方によって生み出せる効果の大小が大きく異なります。

働き方改革は、大きな対応を一つ実施すれば実現できるわけではなく、小さなことを含めた一つひとつの積み重ねで目指していくものだと考えています。より良い組織の姿を目指して、是非、いろいろな取り組みにトライしてみてください。