事例紹介

概要・背景

A社の総務担当者からの次のような相談が始まりでした。

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総務担当者
社内管理用の各種情報(管理業務で使用する情報の集約・集計や社員からの各種申請対応等)処理を、Excel等を使って工夫しながら効率化を図ってはきたが、社員数が増加するにつれ、それでも時間が足りなくなってきた。人員を増やす、ITベンダーにシステム化を依頼する等、予算をかけて対応するしかないだろうか?

検討ポイント①:新しいITシステムの導入

Excel等を活用しながら使用している業務は、A社固有の業務データを扱うものが多く、クラウドサービスを含め、購入しただけでそのまま使用可能なITツールはありませんでした。(会計や労務管理等、一般業務は既に専用ソフトウェアが導入済みです。)

また、会社の成長に合わせて最適となるよう業務フローも頻繁に調整・変更されています。A社がまだスタートアップ期の成長過程にある会社であることを考えると、現時点での必要機能をもとに専用システムを開発したとしても、頻繁な改修ニーズ発生による費用発生が予想されます。

検討ポイント②:担当者の増員

正社員採用や派遣スタッフの依頼等による増員も検討しましたが、ヒアリングを進めてみると、特に繁忙なのは毎月末・月初にかけての約1週間であることが分かりました。

更には、総務担当業務の進行に必要なデータや資料の提出タイミングが、各現場業務や取引先の都合で前後してしまうことも多く、あらかじめ「日」単位で作業計画・分担を決めて取り組むことは現実的に難しいようです。

解決したい課題

A社内では、現場も含め、通常業務においてはクラウドサービス活用が前提となっているため、業務・部門横断的にデジタルデータを活用しやすい状況にはなっていますが、今回の「総務担当業務の複雑さや手間の増加」を招く背景として次のような状況がありました。

  • 部門ごと、業務ごとに最適なITツールが導入されているため、横断的な集約資料を作成するためには、それぞれのツールから必要なデータを探し出して利用することが必要な状態である。
  • 総務担当者は、一般的な数字の加工・集計を実行するようなExcelの知識を有しているが、数式やマクロの使い方に精通しているという訳ではないので、「どのようなことまで」「どのように」Excelで実現できるものかの判断がつかない。

対応した内容・効果

将来的には新システム導入による解決を考えるとしても、効果的なシステム利用を実現するためにも、先ずは業務フローの整理(部分最適から全体最適へ)が必要であるということを説明し、理解を得ました。
しかし、業務フローの整理は会社全体で解決すべき課題であり、結論が出るまで相当の時間を要するであろうことから、当面の間は、現在と同様Excelを使用して(ただし、もっと効率が上がるようチューニングしたものを作成・準備する)業務を継続して行うこととします。

ワークショップ形式とOJT形式

ただし、作成作業は総務担当者を含めたA社スタッフが行うこととし、教育や作成作業を支援させていただくこととしました。

今回は「システム開発」と呼ぶには内容がシンプルですが、「ビジネス(業務内容)の変化に合わせて、アジャイルに開発する」という、デジタル時代に合ったシステム開発スタイルを体験いただける貴重な機会と考えたためです。

「システム開発の内製化」というキーワードからは、システム開発を「全部アウトソースする」「全部社内で開発する」の二択のような議論が挙がりやすいのですが、「できることから」または「できることだけ」内製化していくことで良いのではないかと考えています。

運用開始後も「もっと楽に作業を終えられるようにしたいから」「元データが更新されてもすぐに対応できるように」等、アップデートを繰り返しながら継続的な改善が図られていたようです。もし、外部にアウトソースしていたら自分たちで直接アップデートすることは難しく、「改善したくても、また費用がかかる」という高いハードルが生まれ、自発的な改善は進みにくかったのではないかと予想されます。

支援内容

主な活動内容

今回の事例では、次のような支援をさせていただきました。

  • 必要となる知識を中心としたトレーニング(実習講座的な機会)
  • 作業実行中のヘルプ対応やサンプルコード等の提供
  • 作業成果物のレビュー(コードレビュー等)
  • アジャイル(スクラム)な作業の進め方に合わせたタスク管理方法等の構築

成功要因

「システムの内製化」にもいろいろな進め方があると思いますが、身近な題材を使用して「少しずつ」慣れていくような機会を最初に設けた方が良いでしょう。突然、難しい調整が必要なものや、高度なプログラムを要するようなものを対象にしてしまうと、多少IT知識を持ったスタッフでも、内製にするメリットより先に苦労感を味わってしまい、社内の一体感が失われてしまうかもしれません。

今回は、Excelが題材ということで、全員が基本的な使い方やソフトウェアの機能は既に知っていて、そこに、応用的な数式の使い方やプログラム(VBAマクロ)の知識を上積みすれば良いだけでしたから、内製化の入口としては最適な題材だったと言えます。

「アウトソースせず自社で開発することで得られるものは何か?」(今回であれば「継続的な業務改善の仕組み化」)を検討して、内製化の目的である「ビジネスの速い変化に追随できるデジタルの仕組み作り」を進めていきましょう。

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